Project Managementに役立つナレッジ

PM/PMOコンサルタントとして成長するために日々インプットしたことをアウトプットするブログです。

組織行動論

■組織行動論とは

  • 経営学の、ひとつの中心をなす理論体系。
  • 組織の中における、人の心理や行動を科学する学問。
  • 経済学、心理学、社会学政治学、人類学などの諸理論を、組織の文脈に応用したもの。
  • 組織行動論は元々は支配する側が働き手を「どうやって働かせるか」という学問だったが、「どう生きるか」に代わってきた。

■組織行動論を考える上での3つの「視座」

  • マクロ(組織、集団の大きな動き、仕組み)
  • メゾ(数人~数十人のチームにおける動態)
  • ミクロ(個人のマインドセット、行動成果)

■モチベーション理論

  • 組織が動くのはメンバーが動機づけられ、行動するから。
  • 人が動く、最もわかりやすい動機は「お金」であるが、低次の欲求が満たされると高次の欲求が生まれる。「マズローの5段階欲求」が有名。
  • 人間には2種類の本質、性悪説(X理論)と性善説(Y理論)があると提唱されたのが「マグレガーのXY理論」。
  • 最近では、モチベーションは一人ひとり異なり、自分の動機に沿った自分の仕事を創る「ジョブクラフティング」という考え方が生まれている。

■組織で活躍するための個人の力

  • 個人の仕事の達成基準は「AMO」で決まる。(Ability、Motivation、Opportunity)
  • 個人の力(Ability)はさらに3つに分解できる。(人的資本・関係資本・心理資本)
  • 人的資本は、経験学習(経験を振り返り概念化)・越境学習(旅や家庭、趣味などから学ぶ)、独学の3つで高めていく。
  • 関係資本は、関係性・ネットワークを指す。個人の成功は、良い人との出会いによるところが大きい。ただ顔が広いだけではなく意味のある関係を築くことが大事。
  • 心理資本として「メンタルヘルス」を大事にする。心理資本の構成要素であるHERO(Hope(希望)、Efficacy(自己能力感)、Resilience(回復力、しなやかな心)、Optimism(楽観性)があり、特に楽観性(Optimism)の『根拠のない自信』を持ち目の前のことに前向きに捉え行動することで健やかな心で活動できる。

■人をどう評価するか

  • 評価の鉄則は「公正(Justice)」であること。
  • 評価の具体的なポイントは、評価する事項、評価点のつけ方、評価する人、複数名で評価、など。
  • 評価プロセス自体も、透明性を持って構築・見直しを行っていくことが重要。
  • 評価される側が納得できないなら、Exit(辞められる)、Voice(発言できる)という権利が評価する側・評価される側にあることが大切。

■採用のデザイン

  • 採用とは「よい出会い」であり、マッチングの科学である。
  • マッチングには「能力」と「期待」の2種類がある。
  • 「能力」はテストやワークサンプルなどで測ることができるが必要な能力を適切に定義することが必要。
  • 「期待」は心理的契約とも言える。どんな風に働きたいのか、働いて欲しいのかなどを双方で開示してすり合わせることで良いマッチングができる。また心は常に変化するため、この取り組みは実施し続けていく必要がある。

■リーダーシップとは

  • リーダーシップとは、他者に対して、やるべきことややり方について、理解と合意を得るために影響を及ぼす過程と定義される。
  • リーダー、フォロワー、目的の3要素があって初めてリーダーシップが必要とされる。
  • 危機的状況では「カリスマ型リーダー」、平時には奉仕型の「サーバント・リーダー」が求められる。
  • どちらのリーダーシップであってもそれを後押しする「オーセンティック・リーダーシップ」がある。理想があること、価値観があること、人間として正しいこと、仁義・道徳を重んじること。

■グループダイナミクス(集団心理と同調圧力

  • 集合知は一般的に個人知よりも正解に近づきやすいと言われている。多様な手段、多様な思考、多様な推計が集まって出された答えはかなり正しい。
  • 集団になると、他の人と同じ行動を取る。動物も同様の行動を取り、思考エネルギーを使わずに済む/悪目立ちして外敵に襲われないようにしていると考えられている。
  • 日本企業が同調圧力が働きやすいのは「多様性」が低いから。

■グループダイナミクス(コンフリクト)

  • 2人以上の人が、真面目に一生懸命やっているから、人と人はぶつかる。コンフリクトは悪いことではない。
  • 「感情」のような非生産的なコンフリクトを取り除き、「課題」や「過程」のような生産的なコンフリクトに集中することが大事。
  • コンフリクトが発生する一番大きな場は「会議」である。ファシリテーターは「感情」的にはならず、「課題」や「過程」に集中しましょうと導く。
  • コンフリクトの解消は勝ち負けではなく「Win-Win」になるか、最低でも「妥協」できるような解決策を発見できるように建設的な議論をする。

■グループダイナミクス(関わり合いと心理的安全性)

  • 職場の生産性で上げる最大の方法は「楽しむこと、笑顔でいること」だと実証されている。
  • 心理的安全性が確保された職場とは、チームの中で対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だとメンバー間で共有されている職場と言える。(決して”ぬるい職場”ではない)
  • 心理的安全性は「行動」から作られる。犯人捜しをしない、部下からの報告は笑顔で受ける、など。

■個人と組織のアイデンティティ

  • 個人のアイデンティティとは、”I”=内なる「私」がどうありたいのか、と”Me”=外から見た「私」がどう見られているのかから出来上がる。この2つにGAPがあると人は苦しい。
  • 時には、自由に考えれば良い。人からどう見られているのかは気にしなくて良い。
  • 組織アイデンティティも同様で、”We”=私たちはどうありたいのか、と”Us”=外から私たちはどう見られているのかから出来上がる。
  • 組織アイデンティティは、組織の行動規範・思考の基準、求心力、ブランドにもなる。

■プロジェクトマネジメントへの応用

  • プロジェクトメンバーを決める際は、個人とプロジェクトそれぞれが求めることをしっかりとすり合わせた上でアサインする。
  • プロジェクトメンバーそれぞれが力を最大限に発揮できるように、必要最小限でわかりやすく納得できるプロジェクト管理ルールを策定して腹落ちしてもらう。
  • 相談しやすい雰囲気を作り、問題が起きたら個人を責めるのではなくメンバーの英知 vs 問題という構図で解決する。
  • メンバー全員に対して、プロジェクトの意義を定期的に語り、メンバー一人ひとりの活躍がプロジェクトを推進していることへの感謝を伝える。