若手へのサポート
■若手へサポートするコツ
- 仕事の意味を理解してもらう(腹落ちさせる)
- 答えは言わずに自分で考えてもらう(自分で決めたことは自分ごととして取り組む)
- メンバー個人に対して向き合い理解しアドバイスする(若手というカテゴリにくくってバイアスをかけてアドバイスをしない)
■プロジェクトマネジメントへの応用
- PMOには指揮型、管理型、支援型のロールがある。
- 特に支援型のメンバーとして若手がアサインされることが多い。
- 日々、作業に追われていると何のために仕事をしているのかがわからなくなってしまうことがある。
- プロジェクトを成功させる意義、自分の成長に寄与することを説明して腹落ちしてもらう。
- 日々の仕事の改善方法を自分で考えてもらう、仕事で(本人が望むならプライベートに関しても)悩んでいることを聞いて一緒に解決の方向性を考える。
失敗から学ぶ
■失敗がない人生なんでない
- 失敗するのは考えてチャレンジしたから。
- 失敗がなければ成長はない。
- 1年前の失敗をいまだに引きずっている人は少ない。長い目で捉えて失敗しても落ち込みすぎない。
■失敗から学ぶ方法
- 他人のフィードバックを正しく受け止める(ネガティブな意見をきちんと咀嚼する、ポジティブな意見は素直に喜ぶ)
- 内省して振り返る(なぜ、どこで、失敗したのか、どうすれば失敗しなかったか)
- 将来、この失敗をどのように活かせるのかを考える
■プロジェクトマネジメントへの応用
- 失敗はチームの資産であるという意識を持つ。
- 問題や課題が発生した場合は、人ではなく、事象vsチームメンバーのいう構図を作る。
- 何が問題なのか、なぜ起きたのかを深掘りして、対応策と再発防止策を考え、実行する。
プロティアンキャリア
■プロティアンキャリアとは
- 同じ仕事を与えられても、ただそれをこなす人と、自らの夢や成長の糧になるはずと前向きに取り組める人がいる。
- プロティアンキャリア人材とは、個人主導、変幻自在、心理的成功、関係性の重視の4つを持つと定義されている。
■伝統的なキャリアとプロティアン・キャリアの比較
- 環境変化:環境変化は前提ではない→環境変化することが前提
- 主体:組織→個人
- 価値観:昇進、権力→自由、成長
- 重要なパフォーマンス:地位、給料→心理的成功
- 重要な態度:組織コミットメント→仕事の満足感、専門性へのコミット
- 重要なアイデンティティ:私は何をすべきか(Must)→自分は何がしたいのか
- 重要な適用性:組織で生き残ることができるか→自分の市場価値
■キャリア戦略の策定
- 経営戦略と同様にキャリア戦略を立てて行動していく。
- 人生理念・ビジョン
- SWOT分析
- キャリア資本戦略策定(攻め:強み×機会 守り:弱み×脅威)
■プロジェクトマネジメントへの応用
- 変化が速い現代では大小さまざまなプロジェクトが立ち上がり、企業内外とのリソースがプロジェクトチームとなり活動している。
- 1つの組織に属している人だけで仕事ができる時代ではなく、個人のキャリアも組織に依存するのではなく市場価値で考えることが重要。
- プロジェクトチームを組成する際も、プロジェクトの成功に必要なリソースの定義を明確に行い、社内に存在しない場合は積極的に外部のリソースを登用する。
- これにより、組織の多様性が増し、透明性をもったプロジェクト運営および真に価値のあるプロダクトを社会に提供する力が強くなると考える。
コミュニケーションのコツ
■原因論と目的論
- 悪いところをピンポイントで直すのが原因論。原因論は主観。
- ビジネスで原因論を使うとダメなところだけを指摘することになり、延々とダメ出し、所謂「詰める」「詰められる」状態になってしまう。(例 この報告書のP.3だけダメだな。直して。)
- 目的論は客観。出来ているところを褒めて、ダメなところもそういうように出来ると良いと伝える。(例 この報告書のP.1とP.2はわかりやすいね。P.3も同じフォーマットになっているとわかりやすいから見直してくれる?)
■人は言われた言葉から想起される映像が行動に影響を与える
- 「駆け込み乗車はおやめください」とアナウンスすると駆け込み乗車が増える。これは脳内に走って乗車すれば間に合う自分のイメージが浮かんで走ってしまう。
- 「次の電車をお待ちください」とアナウンスすると脳内に次の電車まで待つイメージが浮かんで駆け込み乗車が減った。
- 同じように「遅刻しないように→時間に余裕を持って」「準備しないと失敗するよ→準備すれば成功するよ」などポジティブな結果になるように言い換える。
■相手に向き合ってコミュニケーションする
- メンバーが報告や相談に来た際にPCで作業をしながら話を聞く上司がいる。
- もしちゃんと上司が話を聞いていたとしても、人は向き合ってコミュニケーションされないと聞いてもらえていないと感じる。
- メラビアンの法則によると、人と人とのコミュニケーションにおいて、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%のウェイトで影響を与えると言われる。
- ボディランゲージや振る舞い、明るい、優しいなどの印象が共感を生む。
■コーチングのコツ
- 相手に気持ち良く話してもらうことを意識する。
- 発言は否定しない。その発言に納得出来なかったら、なぜそう思うのかを縦横に深堀りすることで新たな気づきが生まれることがある。
- ちょっとした時間やすれ違い様に「この間はありがとうございました」「先日○○さんが助かりましたと言われていました」などの声をかける。
- 自分の発言、行動により、相手が前向きにやる気になるだろうかと考えることが重要。(叱責や悪い噂話などはネガティブな結果を生むことが多い)
- 相手から聞きたい情報があれば、自分からその情報を開示する。(部下が失敗したときには、自分も失敗している、過去に失敗したという話を先にする)
■リーダーはハッピーであること
- リーダーが辛いと、メンバーはリーダーを目指さなくなる。
- リーダーがハッピーだと、メンバーはリーダーを目指したいと思える。
- 長い目で見れば組織、会社を強く、生産性を高める。
マインドフルネス
■現代人は情報にさらされてストレスを抱えている
- 人間が集中できる時間は2013年の調査で8秒、2000年には12秒だった。
- 近年、スマホ中心の生活になりさまざまな情報や通知により意識が散ってしまい集中力を失っている。
- 情報量が爆発的に増えている。現代人が1日に触れる情報量は、江戸時代の一年分、平安時代の一生分と言われている。必然的に意識が内側(自分)ではなく外側(情報)に向いてしまう。
- 生活時間の47%が「心の迷走状態(マインドワンダリング)」であるという調査がある。
- 日本人の80%が何らかのストレスを抱えている。
■マインドフルネスの定義
- 意図を持って、今の瞬間に、評価判断を手放して、注意を払うことから湧き上がる気付き。
- 注意深さ、気付き、クリアな心、頭。
- リラックスしている状態。
- 今に注力している状態。
■マインドフルネスワーク
- 胸を開いて、膝の上に手を上にして置く
- 5回呼吸する。鼻から吸って鼻から吐く
- 呼吸に集中する(鼻周辺に意識して、空気の出入り、流れを感じる)
- 雑念が湧いたら、気付き、手放す
■マインドフルネスの効果
- 脳は常に動いておりDMN(デフォルトモードネットワーク)と言われる活動がされていて疲れている。
- 何も考えていない、ぼんやりしている状態になると脳のDMN活動を抑制することができる。
- 抑制することで頭がスッキリしたり、自己認識を高めたり、アイディアが湧き出たりする。(お風呂の中でリラックスした状態になるとアイディアが浮かんだりすることがあるのもDMN活動が抑制されているから)
- マインドフルネスにより呼吸に集中することで、脳のDMN活動を抑制できる。
働き方改革
■時間は有限であり貴重なもの
- 自分の時間を奪うもの、人の時間を奪うことは極力減らす。
- やるべきことより「やらないこと」を決める。これにより生産性が上がる。
- 自分と他人の生産性を上げることは世の中をさらに良くする一助になる。
■やらないこと例
- 過剰に礼儀正しい行動を取らない(ご挨拶だけの訪問、メールやチャット内の挨拶分)
- 電話しない(チャットなど非同期かつテキストコミュニケーション)
- 会議をしない(ポータル等での情報共有、真に必要な会議は目的を明確にして開催、決定事項やアクションアイテムを明確化して公開)
- 通勤しない(リモートワークの活用)
- 印刷しない(資料はデータで共有)
■プロジェクトマネジメントへの応用
- 上記の事例はほとんどがコミュニケーション方法に関わるもの。
- PMOがコミュニケーションルールを策定する際に「テキストコミュニケーション中心宣言」「会議時のルール」「ファイル命名規則」などを定める。
- ルールは適宜見直し、見直したら全体に周知を繰り返し、生産性の高いチームを作る。
価値のある分析
■分析とは
- ある「問い」に対して、「分解」して、「比較」して、「差を抽出」して、意味のある「解釈」をすること。
- ただ差があることを報告しても価値はない。だから何が言えるのかという示唆(解釈)を出すことが重要。
- 分析は『What(イシューは何か?)→Where(どこが悪い?)→Why(どうして悪い?)→How(で、どうする?)』の4つのプロセスで行う。
- お医者さんも「お腹が痛い(What)→原因のあたりをつける、症状、昨日食べたもの、ストレス(Where)→昨日食べた牡蠣(Why)→食あたりに効く薬を1週間飲む(How)」というように分析してアクションを導いている。
- 差が生まれるような「筋の良い切り口」を考え見つけることが重要。
切り口で分解して、比較することで、差を抽出することで、それから言える示唆、アクションを導くことが出来る。
■Excelで分析する
- Excelのピボットテーブルを使えばクラス集計ができる。
- Excel2016以降であればExcelのアドインである「Power Pivot」を使えば複数のデータソースをインプットとして分析ができる。
- トリガー機能を使えば元データを更新することなく自由に計算した列を定義できる。
■プロジェクトマネジメントへの応用
- プロジェクトの進捗状況は「計画」と「実績」を比較して可視化する。
- 差に着目して「機能」や「チーム」などに分解してどこに原因があるかを調べる。
- なぜ遅延が起きているのか、どうすれば解消しそうかを課題管理表もインプットに仮説を立てる。
- 該当のチームリーダーにヒアリング・仮説をぶつけて一緒に解決に向けたアクションを立てる。
組織行動論
■組織行動論とは
- 経営学の、ひとつの中心をなす理論体系。
- 組織の中における、人の心理や行動を科学する学問。
- 経済学、心理学、社会学、政治学、人類学などの諸理論を、組織の文脈に応用したもの。
- 組織行動論は元々は支配する側が働き手を「どうやって働かせるか」という学問だったが、「どう生きるか」に代わってきた。
■組織行動論を考える上での3つの「視座」
- マクロ(組織、集団の大きな動き、仕組み)
- メゾ(数人~数十人のチームにおける動態)
- ミクロ(個人のマインドセット、行動成果)
■モチベーション理論
- 組織が動くのはメンバーが動機づけられ、行動するから。
- 人が動く、最もわかりやすい動機は「お金」であるが、低次の欲求が満たされると高次の欲求が生まれる。「マズローの5段階欲求」が有名。
- 人間には2種類の本質、性悪説(X理論)と性善説(Y理論)があると提唱されたのが「マグレガーのXY理論」。
- 最近では、モチベーションは一人ひとり異なり、自分の動機に沿った自分の仕事を創る「ジョブクラフティング」という考え方が生まれている。
■組織で活躍するための個人の力
- 個人の仕事の達成基準は「AMO」で決まる。(Ability、Motivation、Opportunity)
- 個人の力(Ability)はさらに3つに分解できる。(人的資本・関係資本・心理資本)
- 人的資本は、経験学習(経験を振り返り概念化)・越境学習(旅や家庭、趣味などから学ぶ)、独学の3つで高めていく。
- 関係資本は、関係性・ネットワークを指す。個人の成功は、良い人との出会いによるところが大きい。ただ顔が広いだけではなく意味のある関係を築くことが大事。
- 心理資本として「メンタルヘルス」を大事にする。心理資本の構成要素であるHERO(Hope(希望)、Efficacy(自己能力感)、Resilience(回復力、しなやかな心)、Optimism(楽観性)があり、特に楽観性(Optimism)の『根拠のない自信』を持ち目の前のことに前向きに捉え行動することで健やかな心で活動できる。
■人をどう評価するか
- 評価の鉄則は「公正(Justice)」であること。
- 評価の具体的なポイントは、評価する事項、評価点のつけ方、評価する人、複数名で評価、など。
- 評価プロセス自体も、透明性を持って構築・見直しを行っていくことが重要。
- 評価される側が納得できないなら、Exit(辞められる)、Voice(発言できる)という権利が評価する側・評価される側にあることが大切。
■採用のデザイン
- 採用とは「よい出会い」であり、マッチングの科学である。
- マッチングには「能力」と「期待」の2種類がある。
- 「能力」はテストやワークサンプルなどで測ることができるが必要な能力を適切に定義することが必要。
- 「期待」は心理的契約とも言える。どんな風に働きたいのか、働いて欲しいのかなどを双方で開示してすり合わせることで良いマッチングができる。また心は常に変化するため、この取り組みは実施し続けていく必要がある。
■リーダーシップとは
- リーダーシップとは、他者に対して、やるべきことややり方について、理解と合意を得るために影響を及ぼす過程と定義される。
- リーダー、フォロワー、目的の3要素があって初めてリーダーシップが必要とされる。
- 危機的状況では「カリスマ型リーダー」、平時には奉仕型の「サーバント・リーダー」が求められる。
- どちらのリーダーシップであってもそれを後押しする「オーセンティック・リーダーシップ」がある。理想があること、価値観があること、人間として正しいこと、仁義・道徳を重んじること。
■グループダイナミクス(集団心理と同調圧力)
- 集合知は一般的に個人知よりも正解に近づきやすいと言われている。多様な手段、多様な思考、多様な推計が集まって出された答えはかなり正しい。
- 集団になると、他の人と同じ行動を取る。動物も同様の行動を取り、思考エネルギーを使わずに済む/悪目立ちして外敵に襲われないようにしていると考えられている。
- 日本企業が同調圧力が働きやすいのは「多様性」が低いから。
■グループダイナミクス(コンフリクト)
- 2人以上の人が、真面目に一生懸命やっているから、人と人はぶつかる。コンフリクトは悪いことではない。
- 「感情」のような非生産的なコンフリクトを取り除き、「課題」や「過程」のような生産的なコンフリクトに集中することが大事。
- コンフリクトが発生する一番大きな場は「会議」である。ファシリテーターは「感情」的にはならず、「課題」や「過程」に集中しましょうと導く。
- コンフリクトの解消は勝ち負けではなく「Win-Win」になるか、最低でも「妥協」できるような解決策を発見できるように建設的な議論をする。
■グループダイナミクス(関わり合いと心理的安全性)
- 職場の生産性で上げる最大の方法は「楽しむこと、笑顔でいること」だと実証されている。
- 心理的安全性が確保された職場とは、チームの中で対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だとメンバー間で共有されている職場と言える。(決して”ぬるい職場”ではない)
- 心理的安全性は「行動」から作られる。犯人捜しをしない、部下からの報告は笑顔で受ける、など。
■個人と組織のアイデンティティ
- 個人のアイデンティティとは、”I”=内なる「私」がどうありたいのか、と”Me”=外から見た「私」がどう見られているのかから出来上がる。この2つにGAPがあると人は苦しい。
- 時には、自由に考えれば良い。人からどう見られているのかは気にしなくて良い。
- 組織アイデンティティも同様で、”We”=私たちはどうありたいのか、と”Us”=外から私たちはどう見られているのかから出来上がる。
- 組織アイデンティティは、組織の行動規範・思考の基準、求心力、ブランドにもなる。
■プロジェクトマネジメントへの応用
- プロジェクトメンバーを決める際は、個人とプロジェクトそれぞれが求めることをしっかりとすり合わせた上でアサインする。
- プロジェクトメンバーそれぞれが力を最大限に発揮できるように、必要最小限でわかりやすく納得できるプロジェクト管理ルールを策定して腹落ちしてもらう。
- 相談しやすい雰囲気を作り、問題が起きたら個人を責めるのではなくメンバーの英知 vs 問題という構図で解決する。
- メンバー全員に対して、プロジェクトの意義を定期的に語り、メンバー一人ひとりの活躍がプロジェクトを推進していることへの感謝を伝える。
ホンモノになる前はニセモノ
■ニセモノであり続けよう
- 人は誰しもホンモノになる前はニセモノである。
- ニセモノの自分が無力感を感じながら成長するからいつかホンモノになる。
- ホンモノになった自分は、また別の領域や分野でニセモノになり、ホンモノになろうともがくことで成長する。
- 自分が実現したいことのためにニセモノとしてもがき続けた人は一生成長し続けることができる。
■プロジェクトマネジメントへの応用
- プロジェクトマネージャーが求められるスキル、経験は多岐にわたる。
- 私を含めプロジェクトマネージャーという肩書きの方であってもPMとして完璧なスキルは持っておらず、学び続け経験し続ける必要がある。
- 時には無力感や不安になることもあるが、その気持ち・経験が人を成長させてくれる。それは幸せなこととも言える。
- ニセモノである自分から逃げず、ホンモノに近づくために頑張って楽しんで生きていきましょう。
誠実に交渉する
■交渉時に嘘やごまかしをすることはリスク
- 交渉時に「実際より大きく見せたくなる」「不利になりそうな情報を隠そうとする」というような行動はお互いの疑心暗鬼を招いてしまう。
- 相手の言葉を正しく理解して相手の嘘やごまかしを察知するため、その発言に矛盾がないかを確認する質問ができるようロジカルに物事を整理する。(例 過去の最低価格と同じですよ、と言われたら、5年前から価格が変わっていないが現在の方が生産性がアップしているのでは?と聞いてみる)
- 発言が実は嘘やごまかしだったことが後でバレた場合は信頼関係が一気に失われる。
- このように嘘やごまかしにはリスクがあるため、実は最初から本音ベース、事実を基に交渉をすることが近道。
■プロジェクトマネジメントへの応用
- プロジェクトの状況を報告する際に、実際には計画変更が必要なレベルの問題が起きているのにリカバリ可能な見込みですと報告し、その後に大炎上するプロジェクトが多い。
- 嘘やごまかしではなく、事実と見通し、想定されるリスクを誠実に報告しておけば、後でリカバリできなかった場合もマネジメントが味方になってくれる。
デザインシンキング
■デザインシンキングとは
- デザイン思考(デザインシンキング)とは、デザイナーがデザインをおこなう際に用いられるプロセスを体系化したもの。
- ユーザー視点に立ってサービスやプロダクトの本質的な課題・ニーズを発見し、ビジネス上の課題を解決するための思考法。
■デザインシンキングが求められる理由
- 現在はVUCAの時代であり不確実性でスピードの速い時代においては、知識や経験だけではなく目の前と未来の変化を捉えて物事を考え直し、イノベーションを起こせる人材が求められている。
- 右脳を使うロジカルシンキングだけではなく、左脳を使うデザインシンキングを使って人の感情に寄り添い考えることで、人が心地良いと感じる商品や体験を生み出すことができる。
■価値観の変容を捉える
- ラベスレスのペットボトルは「SDGs」という価値観が新たに生まれたことからエコな商品だという文脈を理解してもらえる。(昔なら怪しい飲料だと思われていたかもしれない)
■プロジェクトマネジメントへの応用
- プロジェクトの目的を定義する際にデザインシンキングを活用してプロジェクトが生み出すプロダクトの価値を高める。
- プロジェクトを推進するにあたり、プロジェクトメンバーが感じるペインがないか、あれば改善し続けることでプロジェクトを円滑に、ひいてはプロジェクトを成功確率を高めることができる。
相手が論理的ではないと感じた場合は「前提」に相違がないかを確認する
■相手が論理的ではないと感じる場合
- 相手が論理的でないと感じている場合は、自分と相手が持っている「前提」が合っていない可能性がある。
- 例えば、自分が採用で大事にしているのは「マネジメント力」で、相手が大事にしているのが「語学力」だったとしたら、そもそも求めている人材自体が一致していなかったため相手の主張の根拠がわかっていなかった、ということがある。
- ロジックの根拠としている「前提」を明確にしてコミュニケーションをすることでコミュニケーションミスを防ぐことができる。
■プロジェクトマネジメントへの応用
- クライアントのマネジメントレベルに対してプロジェクトが順調であることを報告した際にいきなり「コスト削減方法を考えてほしい」と言われたことがある。
- プロジェクトが順調なのになぜいきなりコスト削減を要請されるのかが分からずヒアリングした結果、実はクライアント内でトップダウンで「コスト削減をせよ」というお達しが出ておりマネジメントレベルのファーストプライオリティが「コスト」になっていた。
- PMはQCDが守られているためプロジェクトが順調であるというロジックを持っていたが、クライアントからすると「前提」が変化したため順調ではないと感じていた。
- 事前に変化を捉えて「コスト削減の要請」が来る可能性があると考え準備しておけば「〇〇機能については導入時期を後ろ倒しにしても良いと聞いておりフェーズを分割することによるコスト削減効果を検討して次回報告したいと思う」というようなプロアクティブな回答が出来た。
ロジックだけでは人を動かせない
■ロジックだけでは人を動かせない
- ロジックを考え、伝え、人を動かすことはビジネスパーソンとしては重要なスキル。
- ロジック、論点を明確にすることで無駄なコミュニケーションが少なくなり組織の生産性があがる。
- ただ人間は感情の生き物である。感情に配慮せず正しいロジックだけを突き付けても物事は動かない。(ロジックで詰めてしまい部下の気持ちに寄り添えないなど)
■プロジェクトマネジメントへの応用
- 特にメンバーとの1on1ではまず相手に話してもらい、傾聴し、共感して、相手がどうしたいのかを引き出す。
- その上で、チームとして、プロジェクトとしてやらなければならないことやメンバーに期待していることと本人の思いをロジカルに整理して方向性を一致させることで相手に気持ちよく動いてもらえるよう努力する。
引き受けるべき我慢
■しなくても良い我慢もある
- 「(今は非科学的で危険とされている)運動時は水を飲むな」「つまらない仕事でも石の上に3年」など、意味を感じられない我慢は受け入れられなくなってきている。
- 一方で、筋トレや学習などは時には我慢してもやり続けなければ成長できない。
■変化したいときには引き受けるべき我慢が発生する
- やりたいことがあって転職、独立などをする時には様々な我慢が発生する。
- 業界や組織の理解し直し、学び直し、人脈の再構築、収入の一時的なダウン、社会保障が少なくなる、活躍できないかもしれないという不安など。
- その我慢がしなくて良い我慢なのか、引き受けるべき我慢なのかを見極めるには「我慢の先に何があるのか?」と自分に問うと良い。
- やりたいことが実現できている自分が想像できるからその我慢は引き受けられる。
■プロジェクトマネジメントへの応用
- PM/PMOはステークホルダーやチーム内とのコミュニケーション、調整、エスカレーションや交渉など高いプレッシャーに晒されることが多い。
- それらの我慢の先に、自己の成長や社会へのインパクトを与えられる未来が想像できるなら歯を食いしばって乗り越えられる。
- 将来のためにならないこと、ただの理不尽、搾取だと思うことは我慢せず改善する。
- それでも我慢を強いられるなら止めても良い。そのような組織、プロジェクトに未来はない。