自己を認識する
■自己を認識する重要性
- 時代の変化が早くなっている。自分や組織を変化させる意思決定を行う頻度が増えている。
- リーダーは、自分が何者で何をしたいのかを考え認識することが重要。
- 自分に自信があれば、自分の判断に自信が持てる。引いてはその判断で自分と組織を成長させることができる。
■自己を層別に認識する
- 知:自分は何を知っていて、何をしらなければならないのか(プロジェクトマネジメントの方法・経験は知っている、教養、ビジネス上の複雑な課題や最新のテクノロジートレンドを知り続ける必要がある)
- 情:自分は何に心が動くのか、何に没頭できるか(感謝し感謝される関係、人の優しさ、一生懸命な人の営み)
- 意:信念、価値観、美学(人を助けたい、学び・成長し続けたい)
■自分を信じる
- 人間には生存本能からネガティブバイアスがあり、不安を恐れるのは当然の反応。
- それを打ち破るのは『自分の可能性を信じること』。事を成す人は根拠はなくとも自分を信じている。
- アフリカに「ウブントゥ」という言葉がある。私たちは他者がいるから自分が人間として存在している、他者のおかげで自分が何かを成し遂げることができるという考え方。
- 他者からの期待が自分を作るという側面もあり、他者の期待を意識し続けることも重要。
■プロジェクトマネジメントへの応用
- PM/PMOがプロジェクトを成功させるという気概と自信を持って活動していくことで、プロジェクトチームのモチベーションも上がる。
- メンバー一人ひとりも自分を信じて自信を持って行動することで自律的な強いチームになりプロジェクトの成功率を上げることができる。
バリューチェーン分析
■バリューチェーン分析とは
- バリューチェーンとは、事業活動を機能ごとに分類し、どの部分(機能)で付加価値が生み出されているか、競合と比較してどの部分に強み・弱みがあるかを分析し、事業戦略の有効性や改善の方向を探ること。
- 実際のビジネスではカスタマイズされ、ビジネスプロセスを分解してバリューチェーンを可視化していることが多い。
- 自社の活動を深く分析することにより自社の強みを再発見できる。
■バリューチェーン分析を行う際のポイント
- 数字を意識する(分解したプロセスにコスト、時間を数字にする。大きいものから手をつける。)
- 比較対象を定義する(競合や業界標準、自社の過去、との比較)
- バリューチェーン分析だけで判断しない(3Cや5Fで外部環境を分析してKSFを定義し、バリューチェーン分析をした自社の現状とのGAPを明らかにする)
■プロジェクトマネジメントへの応用
人にタスクを依頼する
■タスクを依頼する際のポイント
- タスクの内容だけではなく目的、条件や制約なども具体的に伝える。
- 相手が好む方法(文字、口頭)で伝える。ただし記録が残るチャットやメールの方が言った言わないが残るので推奨。
- タスクの完了時には良かった点、改善して欲しい点をフィードバックする。
■プロジェクトマネジメントへの応用
- 特に課題管理においては何を依頼しているのかを明確にする。
- 解くべき問い(イシュー)は特定されソリューションを考えて欲しいのか、そもそもイシューを探すところから依頼しているのかを明確にしないと、後日、そういうことを依頼したのではない、というようなミスコミュニケーションが発生する。
- 課題管理表に問題、課題(イシュー)、打ち手、そこに至るまでのプロセスを明文化してチーム内にシェアすることで別の課題を解決する際の参考にもなる。
経営戦略
■戦略とは
- やることとやらないことを決めること。
- 目的を達成するために構造化されたアクションプラン。
- 戦略は目的、戦術は手段と言える。
■経営理念やビジョンとの違い
- 経営理念(その組織の存在意義、基本的には変わらない)
- ビジョン(経営理念を実現するため、時代や状況に合わせて変化する中長期の目標)
- 経営戦略(経営理念、ビジョンを実現するためのアクションプラン)※経営理念やビジョンと整合しなければならない
■プロジェクトマネジメントへの応用
- 組織の経営理念に照らして企画を立案、プロジェクト立ち上げフェーズにおいてプロジェクト憲章を作成する。プロジェクト憲章ににはプロジェクトの目的、なぜ実現したいのかを定義する。またプロジェクト憲章をすべてのステークホルダーに共有する。(ビジョンに近い)
- プロジェクトの目的を実現するための目標を設定し、目標に向けたアクションと進め方を計画する。(経営戦略に近い)
- プロジェクト期間中に変更要求が発生した場合は、プロジェクトの目的に立ち返り変更を受け入れるかどうかを判断する。
- これらのプロセスにより、目的の実現・目標の達成に向けてやるべきことだけを実施していくことでプロジェクトの成功確率を上げていく。
5つの力分析(5 Force)
■5つの力分析(5 Force)とは
- 5つの力分析(5 Force)とは、マイケルポーターが提唱した競争戦略において、業界環境を分析するためのフレームワーク。
- 競合、売り手、買い手、新規参入、代替製品の5つの力(Forces)を分析することで、業界の収益構造や競争のカギを発見する手法。
■5つの力分析(5 Force)は縦横で考える
- 横軸は、買い手(=売上)と売り手(=コスト)からどうやって利益を増やすかを考える。
- 縦軸は、新規参入(=業界内のプレイヤーとの利益分配)と代替品(=業界外から入ったからプレイヤーに奪われる)から業界内の利益をどのように獲得するかを考える。
■5つの力分析(5 Force)のポイント
- 業界の定義(分析したい業界はほどほどに狭くする、広すぎると抽象的な分析になってしまう)
- 数字(停滞ではなく2%の低下、競争が激しいではなくマイナス5%、のようにファクトベースで考える)
- 分析のメリハリ(5 Forceの全てが影響大、ではなく相対的に影響が大きいものを数字で分析する。一般的には代替品が脅威になりがち)
■プロジェクトマネジメントへの応用
- プロジェクトリソースの調達時に、買い手の力として自社がどのような価値を提供できるのか、売り手の力としてパートナーからどうすれば自社に有利な形で価値を提供してもらえるかを考える。
ミーティング後に前向きに物事を進めるポイント
■ミーティングを開催する目的
ミーティングが終わったあとに相手にアクションしてもらうこと。
■ミーティング主催時のポイント
- 関係者の迷いを可能な限りわかりやすく説明して相手が迷わずアクションをしやすくする。
- 資料はパワーポイントやテキストなど相手がその後に内部で展開しやすいように作る。
- ミーティング中は笑顔で明るく進行する。顰めっ面や詰めても相手は前向きに動いてはくれない。
■プロジェクトマネジメントへの応用
- ミーティングにおけるルール、テンプレートを整備する。
- 決定事項、アクションアイテム、期限、担当者を明確にしてアクションを遂行をフォローする。
- ファシリテーターはミーティングの冒頭で目的、ゴール、論点を説明する。笑顔で前向きな議論を促す。
ステークホルダーと合意するテクニック
■見ている景色を合わせる
- リーダーが見聞きした情報をステークホルダーに伝言のように伝えても手触り感が伝わらない。
- ステークホルダーと見ている景色を合わせたいと思う優先順位が高い事項、例えば顧客へのインタビュー結果などは動画見てもらうなど熱量や手触り感が伝わるようにする。
- ステークホルダーの意見が合わない場合はリーダーが伝書鳩のように動きすぎると纏まらない。一堂に関係者を集めて一気に決める。
■プロジェクトマネジメントへの応用
- 要件定義において「なぜこの要件を実現したいのか」を明確にすることでプロジェクトメンバー全員が納得感をもって実現に向けて取り組むことができる。
- ユーザー部門の然るべき方からシステム部門やベンダーに対して自分の言葉で語ってもらう場を設けることも有用。
組織行動とリーダーシップ
■組織行動とリーダーシップを学ぶ目的
- 人と組織のマネジメントを行う目的はメンバーと組織の目標を達成に向けた行動を促すこと。
- 「企業の仕組み」や「個人の取り組み」は組織の目標に向けて人や組織を動かす両輪である。
- 組織行動とリーダーシップを学ぶことは、状況に応じたリーダーシップの発揮のあり方や、人と組織を動かす上でのポイントの理解に繋がる。
■リーダーシップとマネジメントの違い
- リーダーシップとは、不確実性の高い状況においてルールを作り変革を促すこと。
- マネジメントとは、定められたルールに則り効率的に組織を運営すること。
- 不確実性が高く変化が早い時代には、マネジメントだけではなくリーダーシップとマネジメントの両方のスキルをマネージャーが持つことが重要。
■リーダーシップに関する理論
- 現在ではリーダーシップは「リーダーにふさわしい行動を取る」と「状況に適合」することで後天的に開発可能と言われている。
- パスゴール理論は、状況とメンバーの特性からリーダーが取るべき行動には4つのタイプがあるとしたもの。
- 指示型(ゴールが曖昧、部下の経験が低い場合)
- 参加型(部下の能力、意欲がが高い場合)
- 支援型(部下の役割が明確な場合)
- 達成思考型(困難で曖昧なゴールでも努力すれば達成できると動機づけしたい場合)
■エンパワーメントとは
- エンパワーメントとは、メンバーが自律的に行動する力を与えるリーダーシップ技術の1つ。
- 緊急性の高い仕事や1回限りの仕事などはエンパワーメントには向かない。
- メンバーに権限委譲を行い、自律的に行動させることにより成長を図る。
- 部下が実行可能な仕事かどうかを見極め、適切な仕事を割り振り、コーチング、実行支援を行う。
■モチベーションとインセンティブ
■集団のマネジメント
- コミュニケーションの落とし穴に気をつける。
- メッセージの送り手は良く見せようと「フィルタリング」してしまう。
- メッセージの受け手は自分の聞きたいことだけ聞いたり勝手に解釈する「選択的認知」をしてしまう。
- 送り手・受け手双方にジェスチャーや伝え方により誤解を生む「文化的差異」が起こる。年齢、性別、国籍などの文化的背景の違いを意識してわかりやすく伝えると良い。
- コンフリクトの解消をする。まずは「状況の分析」をしてから「コンフリクトの処理」をする。
①状況の分析
- 個人および組織への効果(このコンフリクトがプラスマイナスそれぞれどのような効果を与えているか。例 プラスは意見交換の場が出来る、マイナスは職場の雰囲気がさらに悪くなるリスク)
- コンフリクトのパターン(きっかけとなる行動と表現の相違点。例 Aさんは話すのが得意、Bさんは集中して考えるのが得意、お互いが相手に不満を持っているなど)
- 問題の性質(実質的問題[組織のルール、予算、責任など]と感情的問題[あの人が嫌いなど]を分ける)
- 根底にある要因(外部要因[仕事のプレッシャー、予算の制限など]と個人的要因[仕事への考え方、ストレスの感じ方など]を分ける)
②コンフリクトの処理
- 交渉する(対立する二者間で妥協できる点を探る)
- 制御する(対立する二者同士をの関わり方をコントロールする、合わなくするなど)
- 建設的に対峙する(対立する二者同士の理解を促し前向きにコンフリクト自体を解消する)
- 集団内での意思決定
- 集団で意思決定をする場合は認知バイアスが起きがちであることを認識する。
- 集団で考えると極端な結論になったり、拙速に結論を出そうとしたりしてしまう。
- 敢えて反対意見をいう役割の人を置いたり、全会一致の意見が出たら翌日再度議論するなど事前にルールを決めておくのも有効。
■チームマネジメント
- 集団は、メンバー一人ひとりの個人責任の集まりであり、集団のパフォーマンスは個人の総和となる。
- チームは、メンバーそれぞれが個人責任に加えて相互責任を負うことでのパフォーマンスはメンバー全員の合計より多くなる。
- 高い目標を達成するためには、メンバー全員が目標・方針を理解して進むことと、複数のメンバーを組み合わせて目標の達成に必要なスキル・経験を持つチームを作ることが重要。
- 集団がチームになるプロセスはタックマンモデルが参考になる。
■プロジェクトマネジメントへの応用
マーケティング
■マーケティングとは
マーケティングとは『顧客に買ってもらえる仕組み』を作ること。
■マーケティングプロセスとは
[分析]
- 市場機会の発見
[立案]
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
[展開]
- マーケティングミックス(4P)
■市場機会の発見プロセス
1.外部環境の分析
→2.市場の機会と脅威
3.内部環境の分析
→4.自社の強みと弱み
→5.市場機会の発見
- 若者がアルコール度数の強い酒を飲まなくなった
- 若者がウィスキーを美味しいお酒と認識していない
- サントリーはウィスキー市場で圧倒的な地位
- 技術、知名度、営業力すべてが強い
- 若者向けの新しい飲み方を提案する
■セグメンテーションとターゲティング
- セグメンテーションとは「顧客を同じ性質やニーズに分ける」こと(人口動態変数、地理的変数、心理的変数、行動変数などで分ける)
- ターゲティングとは「自分たちが狙う市場を特定する」こと(6Rで考える)
■ポジショニング
- ポジショニングとは、顧客の頭の中に明確で価値ある製品イメージを作り出す活動。
- ポジショニングは以下の4点を意識して考える。
- 誰のためなのか?
- 顧客にとっての価値は?何が良いのか?
- それはわかりやすいのか?顧客に伝わるのか?
- これまでと矛盾しないか?既存のブランドと整合するか?
■マーケティングには心が必要
- 人は感情の生き物。論理だけでは人は動かない。
- 人の心の中には、自分でも気づいていないニーズである「インサイト」がある。
- このプロモーションをすることでインサイトを満たすのか、相手の感情がどのように動くのかという想像力が必要。
■プロジェクトマネジメントへの応用
- マーケティングスキルを活用して顧客にとって真に価値を生み出す活動をプロジェクトの目的に定義できる。
- それをステークホルダーにわかりやすく伝えることによりプロジェクトの成功を応援してくれる味方を増やす。
1on1
■組織のマネジメントが多様化、高度化している
■リーダーがメンバーのパフォーマンスを引き出すには
- 一人一人のスキルや置かれた状況を理解して、それぞれにあった形で関わり方を見出してコミュニケーションする。
- その方法として1on1が適切。
■1on1の目的
メンバー1人1人が組織、チームの中での経験から自発的に学び成長できる環境を整える。
- メンバーとの信頼関係構築
- メンバーのモチベーションを高める
- キャリアの相談をする
■自発的に経験から学ぶには
- 1on1で「経験学習サイクル」に沿って、経験を聞いて、整理して、次につながるポイントを抽出して、メンバーがアクションを決めて、チャレンジしていく。
- 経験を引き出すこと、本人が何にチャレンジしたいかを引き出すことがリーダーの役割。
- リーダーは「コーチング(引き出す)」「ティーチング(教える)」「フィードバック(伝える)」を使いこなす。
- 特に「コーチング」を使って相手の話をしっかり聞くことが重要。
■1on1のポイント
- 迂闊に1on1を始めない(冒頭で、この場は本音で話せる場であること、話した内容は二人だけの守秘事項にすること、最終的には「あなたがどうしたいか」を決めて良い場である、ことを伝える)
- 日頃から関係性を作る(心理的安全性を高める、メンバーが自分はここに居て良い、何があったら相談できると思われること)
- 相手の話を傾聴する、上司が持っていく答えに導こうとしない(相手の話を勝手に解釈しない)、私はこう感じたと伝える)
- GROWモデルで問いかける。
- Goal(目標:どうなりたいか?)
- Reality(現実:今はどんな状態なのか?)
- Options(選択肢:どんな方法がある?)
- Will(意思):何をやると自分で決める?)
■心理的安全性を高める方法
- 部下であっても「さん」付けする
- 挨拶する
- 仕事をしながら部下の話を聞かない
- 緊急事態でも慌てない
- 部下が失敗したら、叱らずに現状把握と取り組むべきことに集中する
- 相手の話をじっくり聴く、判断しない
- 自分の弱みや欠点を開示する
- あなたに関心があってあなたの話を聴くつもりがあるというシグナルを日々発信し続ける
■プロジェクトマネジメントへの応用
- PMおよびチームリーダーはメンバー1人1人と1on1を行う。
- 相手の話を傾聴して、話を整理して、次に繋がるポイントを抽出して、相手のアクションに繋げる。
- 過去にPMOのジュニアスタッフとの1on1で、プロジェクトメンバーから直接相談されることが少なく存在感が出せないと悩んでいたら、存在感とは何だと思うか、存在感を高めるためにはどのような方法が考えられるかなどの質問をして、接触回数を増やすことが必要だと、そのために会議の司会進行をやってみたいというアクションを引き出した。
コンフリクトマネジメント
■コンフリクトとは
- 相反する意見、態度、要求などが存在し、お互いが譲らないことで緊張が生まれていること。
- コンフリクトはネガティブなことだけではなく、問題の本質が明らかになり改善のドライバーになるなどポジティブな面もある。
■コンフリクトをマネジメントするステップ
まずは「状況の分析」をしてから「コンフリクトの処理」をする。
①状況の分析
- 個人および組織への効果(このコンフリクトがプラスマイナスそれぞれどのような効果を与えているか。例 プラスは意見交換の場が出来る、マイナスは職場の雰囲気がさらに悪くなるリスク)
- コンフリクトのパターン(きっかけとなる行動と表現の相違点。例 Aさんは話すのが得意、Bさんは集中して考えるのが得意、お互いが相手に不満を持っているなど)
- 問題の性質(実質的問題[組織のルール、予算、責任など]と感情的問題[あの人が嫌いなど]を分ける)
- 根底にある要因(外部要因[仕事のプレッシャー、予算の制限など]と個人的要因[仕事への考え方、ストレスの感じ方など]を分ける)
②コンフリクトの処理
- 交渉する(対立する二者間で妥協できる点を探る)
- 制御する(対立する二者同士をの関わり方をコントロールする、合わなくするなど)
- 建設的に対峙する(対立する二者同士の理解を促し前向きにコンフリクト自体を解消する)
■プロジェクトマネジメントへの応用
- プロジェクトでは複数部署やチームからの要望が合わずコンフリクトが起こり課題となるケースが多い。
- お互いの要望・言い分をヒアリングして妥協点を探る。
- 視座を上げて、プロジェクトの目的や組織の方針に立ち返り合致しているかを検討することも有用。
- 当事者同士で決められない場合はマネジメントレベルにエスカレーションする。その際はQCDへのインパクトなどをフラットな目線で評価する。
アカウンティング(財務三表から読み取る力)
■財務三表を読む力をつける理由
- 事業活動が経営数値によってどのように表現されるのかを財務三表から読み取ることができる。
- 事業が儲かっているのか、資金繰りは大丈夫なのかなど企業の状況を数字で把握することができる。
■事業活動とは
- 商品開発、原材料の仕入れ、生産、販売、広告など企業内で行う活動。
- 自社の顧客を定義し、どのようなニーズがあるのか、どんな価値を提供できるのか、よってどんな活動をすべきかを考える。
■財務三表とは
以下の3つを指す。
- 貸借対照表(P/L)・・・どのように、どれだけ儲けたか
- 損益計算書(B/S)・・・どのようなお金の使い方をしたか、資金をどのように調達したか
- キャッシュフロー計算書(C/F)・・・お金をどのように増やした(減らした)のか
■貸借対照表(P/L)と見るべきポイント
大きな数字で概況を押さえる。
- 売上高・・・売上額の合計 ←事業の規模は?
- 営業利益・・・本業の収益・費用 ←本業でどれくらい儲けているか?
- 経常利益・・・本業外の収益・費用 ←持続して利益が出せそうか?
- 当期純利益・・・特別利益や特別損益なども加味した利益 ←最終的な利益は出ているか?
例えば以下のようなことを読み取ることができる。
- 昨年と比較して売上が上がったのに営業利益が減っていた。売上原価率が上がっており、原材料の仕入れ額が上がっていることが分かった。
- 売上総利益は減ったのに営業利益が増えていた。販管費が減っており、広告費を減らしたことが分かった。
費用収益対応の原則がある。収益を計上するときはその売り上げを得るために使った費用を同時に計上するルール。翌年度に売る商品のための材料や労務費を前年度末に使った場合は、それらの費用は翌年度のP/Lに計上する。
- 費用は発生主義(キャッシュアウトの原因が発生した時点で計上する)
- 収益は実現主義(お金が入ってくることが確実になった時点で計上する)
■貸借対照表(B/S)
大きな数字で概況を押さえる。
- 資産(何に資金を多く使っているか?)
- 流動資産
- 固定資産
- 負債(返す必要があるお金。借り入れが多すぎないか?)
- 流動資産 ←流動資産より流動負債が多くないか?多いとお金を返せと言われたら倒産してしまう
- 固定資産
- 純資産(返す必要がないお金。過去に設けた利益や自己資本、株主資本など)←負債や以上に純資産があれば安全だと言える。
減価償却費は固定資産を耐用年数にわたり利用料を払っているようなもの。
■キャッシュフロー計算書(C/S)
キャッシュフロー計算書が必要な理由は3点。
キャッシュフローは大きく3種類。これらの数字を見てズレや極端な数字がある場合はその理由を探っていくと影響が大きい事項や問題点がわかる。
- 営業キャッシュフロー(CFO)・・・売上を上げればお金が入ってくるので「プラス」になる ←本業でキャッシュを生み出しているか?
- 投資キャッシュフロー(CFI)・・・設備投資をするとお金が出ていくので「マイナス」になる ←何に投資をしているか?
- 財務キャッシュフロー(CFF)・・・銀行からお金を借りるとお金が入ってくるので「プラス」になる
■運転資本
- 仕入れと買掛金、販売と売掛金の間にはラグがあり、この期間の資金を手当てする必要がある。
- 運転資本を小さくするため、経営者は売掛金は早く回収し、買掛金はなるべく遅く支払い、在庫はなるべく持たなくしたい。
■まとめ
- 顧客に価値を提供した結果が「売上」
- 価値を提供するために使ったお金が「コスト」
- 売上からコストを引いたものが「利益」
→これがP/L
→これがB/S
→事業活動全体のお金の流れがC/F
定量分析
■分析の本質
- 分析の本質とは「比較」である
- Aの効果が知りたい時にはAがあるケースとないケースの比較をすると差分を効果と推測できる
- 比較する際には可能な限り「前提」を合わせること(Apple to Appleにする)
■定量分析のプロセス
- 仮説を立てる(やみくもにデータを分析しない)
- 分析の視点を考える(インパクト、ギャップ、トレンド、ばらつき、パターン)
- 分析方法・アプローチを考える(グラフ化、数字、関数)
■プロジェクトマネジメントへの応用
- 課題やシステムの不具合の数をチーム毎・モジュール毎などで定量的に比較すると、強化すべきポイントを発見することができる。
- 分析結果をグラフやヒートマップで可視化すると関係者の理解を促進させることができる。